誰も住まない家に、年間どれだけお金がかかるか把握していますか?
空き家で気になるのは、年間どれだけ維持コストがかかるかでしょう。
大きく、税金と維持管理費に分けて見てみましょう。
目次
空き家にかかる税金
まず税金は、毎年1月1日時点で所有している不動産にかかる「固定資産税」と「都市計画税」が4~6月に通知され、1年分または4期に分けて徴収されます。ただし、住宅1戸につき200㎡までの小規模住宅用地なら、「住宅用地の特例」という制度のもと、固定資産税が最大6分の1、都市計画税が最大3分の1まで減額されます。
空地にすると税金が高くなる
注意したいのは、この住宅用地の特例が適用される条件は「住宅が建っていること」。
つまり、空き家を解体してしまうとこの制度が適用されなくなり税金が高くなってしまいます。
たとえば課税評価額が、
建物600万円 ・土地2000万円(土地面積300㎡)
上記を相続した場合の固定資産税を計算してみると自治体の税率によって異なりますが、毎年約14.6万円のお金がかかります。
それが、解体費100~200万円をかけて更地にすると、
なんと28万円に大幅アップします。
建物にかかっていた税金は浮きますが、更地にして所有しているほうがおよそ倍額にもなってしまうのです。
大きな負担になる維持管理費
誰も住まない家でも、税金以外に維持管理費がかかり、年間にするとまとまった額になります。
たとえば月1回、1泊2日の宿泊をした場合の目安として光熱費が4.3万円、庭木の剪定を依頼すると、1回で5万円程度×年間2回とすると10万円程度かかることもあります。そのほか、火災保険に加入すると4.7万円程度は必要になります。
また専門業者の空き家管理の巡回サービス等を利用すると、料金は月1回で1万円程度。年間にすると12万円くらいに。
このように、空き家を維持するだけで年おおよそ20万程度、
10年にすると200万近くもかかってしまいます。
国交省が実施した「空き家実態調査」によると、約45%の空き家所有者は空き家にしておく理由を、「物置として必要だから」と答えています。家レベルの「物置」が必要な人がどれだけいるかはさておき、
年間20万の維持管理費、約15万円の税金。
物置代わりにするには、ちょっと負担が大き過ぎではないでしょうか。
「特定空き家」空き家を放置すると固定資産税が6倍になる!?
最初の段落でご紹介したように、住宅の立っている土地は「住宅用地の特例」として、税金の減免措置が取られていますが、この特例が「空き家問題」を加速させてる原因のひとつでもあります。
つまり、家屋さえ立っていれば、たとえ倒壊寸前の空き家でも不動産にかかる税金が安くなるので、空き家を解体せずに放置する人が多かったのです。
ところが、
2015年度の税制改正によって「空家等対策の推進に関する特別措置法」が決まりました。
「空家等対策の推進に関する特別措置法」とは管理されておらず、著しく景観を損ねるなどの空き家を「特定空き家」として自治体が認定し税金の減免措置を受けられなくする制度です。
空き家を放置すると認定される「特定空き家」
特定空き家の所有者は一定の猶予期間内に空き家の保全をしなければなりませんが、指導や勧告を無視したまま年をまたぐと、住宅用地特例の対象から除外され、税金の減免措置が受けられなくなります。
ちなみにこの減免措置は、前述しましたように、固定資産税で小規模住宅用地(200㎡以下の部分)は6分の1、一般住宅用地(200㎡を超える部分)は3分の1。そして都市計画税は小規模住宅用地で3分の1、一般住宅用地で3分の2です。
つまり、
小規模住宅用地なら固定資産税で6倍、
都市計画税で3倍、
これだけの税金がかかってしまうのです。
強制撤去のうえ解体費用も請求される
さらに問題なのは、自治体の指導、勧告を無視して特定空き家を放置し続けると、所有者は50万円以上の過料が科せられるだけでなく、市区町村長の判断によって空き家が強制撤去(行政代執行)されます。
もちろんこの解体費用は所有者に請求されるので、タダで厄介払いができるわけではありません。
大切なのは空き家をそのまま放置しないこと
ここまで説明してきましたように、空き家は放っておいても年間数十万円のお金がかかります。加えて、放置する期間が長くなるほど特定空き家に認定されるリスクが高くなってきます。
相続で思いがけず空き家を手にしてしまった人など、空き家問題はすでに所有している人だけではなく、すでに他人事ではなくなってきています。
老いた親が認知症になって老人ホームに入居する、突然の転勤で引越し、旧居が老朽化したがリフォーム資金がない。
これらは大変よくある問題にもかかわらず、空き家をそのまま放置する人が多いのです。
空き家を解体する費用は、たとえば売却等によって回収できることが殆どなのに、大多数の人は、空き家の活用方法を考えるのが面倒、それが本音ではないでしょうか。
空き家を放置しておくことは、問題を先送りしていることと等しいです。
空き家問題は、近年大きな社会問題になっており国が力を入れている政策領域のひとつです。今後は、さらに規制が厳しくなることも容易に想像できます。
手を打つなら早いうちに。そのほうが結果的にコストも抑えられます。
今のうちに、ご自身に合った空き家の使い方を考えたほうが、選択肢はぐっと広がります。
わたしたちにもお気軽にご相談ください。