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あらすじ

昔々、信州中野鴨ヶ岳の小館城という城に、高梨摂津守政盛(たかなしせっつのかみまさもり)というお殿様が住んでいました。正盛には、黒姫というとても美しい姫君がいたそうです。

ある春の日、正盛は家来達を連れて東山に花見に出かけました。正盛はこの日、黒姫の酌で機嫌よく盃を傾けておりました。
ところが宴の中、どこからともなく強い風が吹いたかと思うと、1匹の白い蛇が現れたのです。
「黒姫。蛇も仲間に入りたいようじゃ。盃をやりなさい」
「はい」
黒姫が盃を蛇の前に差し出すと蛇は酒を飲み、しばらく黒姫を見つめると去っていきました。

その夜、黒姫は夜中気配を感じて目を覚ますと、庭に1人の若者がいました。
「何者じゃ」
「はい。私は昼間、姫から盃を頂いたものです」
「まさか、あの白い蛇はそなた・・・」
「どうか、私の妻になってください」
「いけませぬ・・・。そのような話は父君なさってくれねば困ります」
「それではコレを・・・。印として置いていきます」

そいうと、若者は鏡を置いて消えていきました。

それから数日後、例の若者が城を訪れ、黒姫を我妻にと申し出ました。正盛が会ってみると、態度・物腰といい非の打ち所のない若者でした。
ところが、
「私は志賀山の大沼池に住む黒竜という者です。先日、春のうららかさに誘われて、白い蛇に変わって花を見に来ていましたが、その時黒姫様と接し盃まで頂いて以来、姫のことが忘れられないのです。姫をさらうことはたやすいことですが、それではならぬと思い、こうしてお願いにまいったのでございます」
「竜の化身じゃと?そのような化け物に姫を渡すことはできん!帰れ!」

そういって、正盛は若者を追い返してしまいました。

ですが、若者は次の日も次の日も正盛の元へ訪れました。その一途な姿に黒姫は心が惹かれていきます。
若者が現れてから100日が経ち、正盛は
「明日、私が馬に乗り城の周りを21回回る。その後に遅れずついて来れば黒姫をやる」
と約束をしました。

翌日、正盛が馬に乗り城の周りを走り始めると若者は自らの足で後を追い始めました。馬はどんどん先へ走り、若者はやがてヘトヘトになってしまい、とうとう竜の正体を現して後を追いました。これが正盛の計略だったのです。途中、家来達に刀で無惨に刺されながらも、死ぬ物狂いで後を追いました。
「なんと惨いことを・・・」
城の上から見ている黒姫は、黒竜の姿に心が痛むばかりです。
とうとう21回走り終えた黒竜はヘトヘトになりながら、正盛にいいました。
「約束通り、黒姫様を妻にください」
「何を言うか!貴様のような化け物に姫をやる気など初めからないわ!帰れ帰れ!帰らぬと切り殺すぞ!」

正盛は約束を破り黒竜に怒鳴りました。
「おのれ謀ったか・・・。散々礼をつくし、今日まで通い詰めた答えがコレか。もう許さん・・・!」
黒竜は激怒し、傷ついた体で鴨ヶ岳の頂上へ帰っていきました。

するとたちまち黒雲が現れて大嵐になりました。

黒竜の怒りを表すかのように激しい雨風と洪水が村人達を襲いました。これを見た黒姫は正盛の元へ向かい、
「たとえ龍とはもうせ、父上との約束を守り立派にそれを果たしたではありませぬか。竜がかわいそうでございます。竜の怒りを鎮めるためにも、私を竜の元へ・・・」
というと、外に出て黒竜に呼びかけました。
「黒竜よ!あなたとの約束を破った私達が悪かった。約束を守るから、どうか嵐を鎮めてください!」
そう叫ぶと黒竜の鏡を空に投げました。すると雨が小降りになり、暗雲の中から黒竜が現れて、黒姫を背に乗せると大沼池を捨て新しい山へ飛んでいきました。

その山の頂からは荒れ果てた村の姿が見えました。荒れ果てた村の姿に黒姫は涙が止まりませんでした。
「あんまりです・・・。父があなたとの約束を破ったとはいえ・・・」
「許してください、姫・・・。私は、人間達に裏切られてと思った時、我を忘れてしまったのです。しかし、姫の優しい心を知って戻ることが出来ました。どうか許してください・・・」

そういって竜は、大粒の涙をこぼしました。
こうして黒竜と黒姫は、新しい山に一緒に住むことになりました。

それ以来、その山は「黒姫山」と呼ばれるようになったのです。今もその山頂には、黒竜と黒姫が幸せに暮らしているそうです。

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